特定非営利活動法人
日本フィリピンボランティア協会
Japan Philippines Volunteer Association
 

■MARAPANGI マラパンギ

無断居住者(スクワッター)が多く存在するマラパンギ地区では学校に行けない子どもたち 、栄養失調児、慢性の病気を持つ子どもたちなど課題が山積みされています。
当協会は初めは医療巡回活動を主にしていましたが、それだけでは病人は減りませんでした。
親たちを集め、母親学級を開設し、生活環境の改善や子育てに関する様々な学習を始めると 病人が少しずつ減少し、マラパンギ地区の状態も少しずつ変わって来ました。
今では、母親の職業訓練、子どもたちへの教育などその成果が少しずつではありますが、 改善が見られます。
母親たちはここで手工芸品を作り、日本の福祉作業所へ送ります。
学校へ通えない子どもたちには、コミュニティセンターで毎週日曜日にPOCV(フィリピン青年海外協力隊) 隊員やMKD(ミンダナオ国際大学)の生徒が読み書き、計算などを教えています。

  • 女性自立の家(母親への手工芸などの職業訓練)

  • 子どもたちへの日曜学校(読み書き、計算などの授業)
  • ■マラパンギ "女性自立の家&日曜学校"ニュース

  • 2004年報告

  • JPVA現地駐在員 西山卓也
    日本フィリピンボランティア協会報49号(2005年5月10日発行)より抜粋

    「マラパンギ女性自立の家」の2004年度は、作る喜びと学ぶ喜びに満ちた年でした。
    この事業は、国際ソロプチミスト東京-調布の支援を受けて始まりました。事業の目標は、ダバオ市近郊のマラパンギという都市スラムに住み、経済的、社会的に貧しく抑圧された人々、 特に女性とその子供に、生計向上の手段と教育の機会を与えることです。

    マラパンギから選抜された女性5名が参加したのは、手漉きの紙を用いて、手工芸品を作る生計向上事業です。
    マラパンギから生み出されたこれらの製品は、すでに多くの方に、本誌で報告されているとおりですが、日本の「福祉作業所ポピーの家での最終工程を経て、「絵手紙帳」や「絵日記帳」となりました。

    この作業の舞台となるのは、もちろん「マラパンギ女性自立の家」です。
    作業に当たる女性五名の経歴はさまざまです。 そのうちの一人、レテシャさん(36)は、服の仕立屋でした。 レテシャさんは、6人の子供がいて、現在も妊娠中です。 彼女の仕事は、自宅にミシンを置き、近所の人からの注文を受けるものです。

    近所とは、同じスラムに住む人々ですから、収入は多寡が知れています。
    近くの公設市場で、畜殺業を営むご主人と大家族の家計を支えるのは容易なことではありません。
    作業者の中で一番年配のフィデラさん(44)は、養子にした子供と二人きりで暮らしています。
    以前の仕事は、洗濯です。1キロ15ペソから20ペソ(30円から40円)で、洗濯の注文をとるのですから大変です。
    現在、5名は、毎週月曜日から金曜日まで、作業所で働きます。
    出来高に応じて、毎日少ないながらも収入があるので、収入が途絶えがちだった以前と比べると、生活が少しずつ改善されていると、前述のフィデラさんは言います。
    製品のデザインを自分で考え、具体化するという作業も、この事業の魅力です。
    ロザリー(20)さんは、2005年3月より生産を開始した「絵手紙ホルダー」のデザインを考案しました。
    ロザリーさんは、およそ一年前、母親に連れられた参加した技術研修の頃の、無口でおとなしいかっただけの印象でした。
    今までは、自分の作った製品が、少なからず日本で売られているといるからでしょうか、自分の仕事に誇りと自信が伺えます。

    ロザリーさんの好きなデザインは、花です。
    それらの花は、マラパンギで見かけることができます。
    地元NGOから購入している手漉きの紙(この事業については、協会報44号及び47号に紹介があります。)と調和して、フィリピンならではの色彩感覚をよく表現しています。
    もともとフィリピンには、マニラ麻やバナナなど和紙の原料となる草本性植物(※そうほん、地上茎の生存が1年を満たない植物)が、 300種以上も自生しているといわれます。
    また、日本人や欧米人にとって、フィリピンの人々のデザイン感覚は、いかにも手作りという感じで、暖かさが伝わってきます。
    手漉きやデザインの技術水準が向上すれば、マラパンギの女性が作った製品は、日本や欧米人に喜ばれる輸出品となるでしょう。

    さて、上述の生計向上事業と並んで、「マラパンギ女性自立の家」のもう一つの柱となる事業が、毎週日曜日午後におこなわれる、「マラパンギ日曜学校」です。
    日曜学校で勉強するのは、マラパンギに住む4歳から16歳までの児童、そしてその母親たちで合計するとおよそ70名です。
    2004年度は、その70名の学生を学年に応じて、六クラスに分けました。 幼稚園クラス、小学校低学年、中学年、高学年のそれぞれのクラス、高校のクラス、そして母親たちのクラスです。
    授業を担当するのは、大学生のボランティア三十名です。
    教授科目は、学年に応じてさまざまですが、基本的には、英語、フィリピノ語、算数、科学です。 生徒がより楽しめればと、日本語も教えました。 高校生や母親のクラスでは、応急医療の仕方や、日本人ボランティアを講師にして、料理教室もおこなわれました。

    年間の行事日程は、一般の公立学校のそれとほぼ同じです。 日曜学校の実施回数は、三十五回です。
    マラパンギ女性自立の家という事業が始まる前のマラパンギでは、政府からの土地獲得を求めて争議することだけが、地域住民による活動でした。 そのために、マラパンギといえば、地元の人でさえ行くのを遠慮する殺伐とした場所だったのです。 また、子供の教育に無関心な土地でした。 誰もが、日雇ばかりで、安定した職も無く、その日暮らしの生活に忙しい人々ばかりだったからです。
    しかしながら、この事業が始まって一年、マラパンギは少しずつ変わったように感じます。
    地域住民が参加する活動は、政治や利権に絡んだものだけではありません。 母子保健事業や児童教育のためのセミナー、手工芸品の技術研修、毎週おこなわれる日曜学校等、さまざまな活動に参加する機会が増えました。
    そのような活動を通じて、マラパンギには、自信そして学ぶ喜びを持つ人々が増えてきたように感じます。 2003年度は、ボランティアの先生が、各家庭に生徒を迎えに行かなければ、誰も日曜学校には来ませんでした。
    2004年度は、小学生より上の生徒であれば、自分から教室のある「マラパンギ女性自立の家」へ通います。 幼稚園のクラスであれば、先生が迎えに来てくれる場所で待っています。
    このことは、児童のみならず、ラパンギの各家庭の意識が変化していることを物語っています。 このような変化は、マラパンギの住民や「マラパンギ女性自立の家」事業にかかわった人々の熱意と努力の成果です。
    二〇〇五年度は、より多くの人々に雇用と学ぶ機会を与えることができるよう、この事業の一層の発展を期待します。

     
     
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